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「塩梅(あんばい)」
今年の夏を振り返ってみると、暑さは幾分「マシ」でしたが、各地で大雨による被害が相次ぎました。しかし、更に数か月時を戻してみると、雨不足による渇水や山火事のニュースが報じられていたのです。自然の営みとは、なかなか私たちの思うようにはいかないものです。暑すぎても困るし、雨が降りすぎても降らなすぎても困る。なんとも「塩梅」の悪い気象でした。
「塩梅」という言葉には、料理の味加減という意味のほかに、物事の状態が「ちょうどよい具合」であること、という意味があります。私たち大人は、これまでの経験やさまざまな情報から、「このくらいがちょうどいい」という感覚を、ある程度身につけています。けれども、子どもたちにとっては、その「ちょうどいい」がまだよくわかりません。だからこそ、幼児期は、実際にやってみながら、自分なりの「塩梅」を身につけていく大切な時期なのだと思います。例えば、泥団子を作るときの水の量。絵の具やのりの適量具合。最近、園庭にデビューしたストライダーのスピード調整。友だちとの距離感もそうかもしれません。大人が「ちょうどいい」を教えることは簡単です。失敗も減りますし、無駄もなく、効率的なのかもしれません。でも、「出しすぎちゃった」「やりすぎちゃった」etc..そんな小さな失敗を自分で経験し、「次はもう少し減らしてみよう」「このくらいがちょうどいいのかもしれない」と調節していく。その繰り返しの中で、頭だけではなく、身体や心で「塩梅」を覚えていくのではないでしょうか。
さて、幼稚園では10日後に控えたうんどう会に向けて、各学年盛り上がりを見せています。中でも、年長リトミックはこの活動の集大成。雨天が続き、園庭での練習も十分にとれていませんが、入園から徐々に身につけたリズム感や協調性は、しっかりと基礎を築いており、うんどう会はこれまでの積み重ねを披露する格好の場です。当日は堂々と表現してくれることでしょう。

かけっこにおゆうぎ、リレー、そしてリトミック。一人ひとりが一生懸命、夢中になっている子どもたち。この時ばかりは「ちょうどいい」など考えず、我武者羅に取り組む姿を見せてほしいものです。

短い秋。やっとからだを動かす心地よさを感じるに適した季節となりました。心の向くままに走っている子どもの姿からは解放感が漂っています。また10月は、自然の美しさを感じることのできる季節でもあります。空の青さ、雲の流れ、草木の変化などちょっと足を止めて眺めてみる、そんなゆとりある時間を持ちたいと思います。
園長 深沢 亮