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無知の知…
昨年の秋頃から、幼稚園の事務所に一つの虫かごが置かれていました。その中には、アゲハチョウの蛹が3つ。12月になっても、1月になっても変化はなく、ただ静かにそこにあり続けていました。これまで園で育ててきたアゲハチョウは、幼虫からおよそ2か月ほどで羽化していたため、正直なところ「もう難しいのではないか」と感じ、処分することさえ頭をよぎりました。
しかし、事務所の先生は「きっと蝶になりますよ」と言って、そのまま大切に置き続けてくれていました。半信半疑のまま迎えた4月末の朝。出勤してみると、虫かごの中で二匹の蝶が羽ばたいていたのです。

その光景に、ただただ驚かされました。
自然の営みは、私たちの経験や知識だけでは測れないものだと改めて感じます。もし人間であれば、おなかのあかちゃんが「まだ寒いから生まれない!」といった選択はできません。しかし、この小さな命は、じっと時を待ち、自らの力で羽化の時を迎えました。生き物の持つ力、そして自然の不思議に触れると同時に、自分がいかに知らないことだらけであるかを思い知らされました。
大人である私たちでさえ、まだまだ知らないことばかりです。ましてや子どもたちは、これから出会うすべてが「はじめて」であり、その一つひとつを吸収しながら育っていきます。だからこそ幼児期は、「知る」ことの土台がつくられる、かけがえのない時期なのだと感じます。自分が知らないということを「知る」ことから、「学び」が始まる。子どもたちはまさに、その連続の中にいます。見たことのないものに目を輝かせ、触れたことのないものに手を伸ばし、自分なりに確かめ、理解しようとする。その姿は、まさに生きた学びそのものです。
風薫る5月。木の葉の色のように園での生活、活動も深みを帯びていきます。あの蝶が、自らの力で時を待ち、大空へ羽ばたいていったように、子どもたち一人ひとりの中にも、育つ力が確かにあります。その力を信じ、共に驚き、共に喜びながら、これからも歩んでいきたいと思います🦋
